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ハンドメイド作家が「販売価格」を決めるとき考える事4選

ハンドメイド品をいざ販売しようとなったとき悩むのが「販売価格」。原価の3倍が適正価格なんて言われているけど、本当にそうでしょうか?

同じような商品を販売している周りの作家さんの価格を見て、「ベテランのあの作家さんがこの価格なら、初心者の私はもう少し下げようかな」なんて感覚で販売価格を決めていませんか?

高いと買ってもらえないんじゃないか、安くても売れた方がいいし…、そんな気持ちで何となく価格を設定していては長く活動を続けることはできません。

価格は多く貰いすぎても、少なすぎてもいけません。「適正価格」で販売することが長く楽しく作家業を続けるには必要です。そこでこの記事では、基本的な価格設定の仕方と、ベテラン作家さんから企業まで、必ず使っている人の心理をコントロールした価格設定について、ハンドメイド作家さんがマネしやすいことに特化して書いています。ぜひ参考にしてみて下さい。

原価と利益の両方設定する

原価とは

まずは商品の原価を計算しましょう。
原価には最低でも下記の項目は必ず入れて下さい。

・材料費
・パッケージ代
・自分の人件費(制作時間)

ここに作品を作るのにかかった電気代や工具代、アトリエの家賃や光熱費も含めるのが適正ですが、そこまでやろうとすると、はじめは気持ちが折れてしまいそうなので、最低でも絶対必要な項目を抜き出してみました。

これを見て分かる通り、原価=材料費ではないんです。

人件費は、1つの作品を作るために必要な時間を時給計算します。はじめは1時間1,000円で計算される方が多いですが、ご自身のエリアの最低賃金を調べて参考にしてみて下さい。ちなみに東京都の最低賃金は1,113円です。

また制作時間だけでなく、梱包にかかる時間、発送しに行く時間も計算に含めます。1円単位で計算する必要はありませんが、大体の原価は把握しておきましょう。

利益とは

利益とは、販売価格から原価や手数料を差し引いて得られる売上のことです。利益=人件費ではありません。人件費は原価にあたります。

利益は、今後の活動を続けていくために必要な資金です利益を得ることで、新しい資材や道具を購入したり、広告を出して販促できたりします。販売価格を決める際は、自分が活動していくためにどのくらいの利益が必要かもしっかり考えましょう。

販売価格の決め方

原価を計算しよう

例えば1つ作るのに必要な原価が2,000円で制作に2時間かかるとします。パッケージ代が130円で、梱包と発送に30分かかるとしたら

2,000円(原価)+2,000円(人件費)+130円(パッケージ代)+500円(梱包発送)+2,500円(利益)=7,130円(販売価格)

ネット販売をしている場合はここに手数料も加算されます。どんな商品を作っているのかにもよりますがこの数字だけ見たらちょっと気が引けてしまう方も多いのではないでしょうか?もう少し安くしようかな、なんて謎の値引きが入ったり…。

利益は自由に加算できますが100円とかだと、作れば作るほどしんどくなるだけで健全ではありません。

必要な金額は頂かないと先ほども言ったように作家活動を継続することはできません。そのためにも私たち作家は、商品にこれだけの価値があるという事をお客様に伝える努力も必要です。

販売場所を決めよう

同じ商品でも、百貨店で販売する場合と、マルシェで販売する場合、ネットで販売する場合、価格は同じでも大丈夫でしょうか?

答えはNOです。

販売場所によって販売手数料が大きく異なります。お客様に申し訳ないから…とどこで販売しても同じ価格設定では赤字になりかねません。

ボランティアで販売しているわけではないのであれば、適正価格で販売しましょう。適当な価格設定で作家さんが運営できなくなると、待ってくれているお客様に申し訳ないのではないでしょうか。

お客様は、販売場所の雰囲気込みでお買い物を楽しんでいます。私たち作家が出来ることは、価格を安くするだけではなく、お買い物自体を楽しんでもらえるように接客することで商品価値も必ず上がります。

人の心理をコントロールした4つの価格設定

私たちは日々多くのことを考えながら商品を購入するか否かを決定します。実は企業では商品やブランドに応じて、心理的価格設定を行なっています。心理的価格設定とは、お客様の価格へ対する心理に影響を与える価格設定のことです。

心理的価格設定を行うことで、顧客心理をコントロールすることが可能になり、結果的に売り上げや利益を上げることができます。

今回はこの心理的価格設定について、ハンドメイド品の販売にも活かせるポイント4つをご紹介します。

端数価格

「2,000円」の商品と、「1,980円」の商品を見たときどちらに惹かれますか?実際は20円の差ですが、2,000円と1,980円では大きな差を感じませんか?これが端数価格です。

端数価格は、1000円や2000円といったキリのいい価格ではなく、980円や1980円といったわざと端数を出す価格設定のことです。

実際の価格差は大したことがありませんが、価格を見ている顧客の心理としては、なぜか価格差以上に安く感じてしまうのが、この端数価格の特徴です。

段階価格

「松竹梅」の法則ともいわれています。簡単にいうと「300円」「500円」「800円」の価格設定の商品があった場合、真ん中の500円の価格設定商品が一番売れるという法則です。

真ん中を選択しやすいという人間の心理を利用した心理的価格設定になります。一番売りたい商品は、上の価格と下の価格を準備して真ん中に設定してみると選ばれやすくなる可能性が高いです。

抱き合わせ価格

セットにして販売する手法です。

この心理的価格設定では、単品で別々に購入するより、セットで買った方が安値になるように設定されているのが一般的です。

抱き合わせてセットで買えばお得なので、複数の商品を購入してもらうように誘導するのが、抱き合わせ価格になります。

単品での販売より単価は低くなりますが、2つ以上購入してくれやすくなるので総合的に売り上げがUPしやすくなります。

均一価格

均一価格は、商品の価格を一律に統一してしまう手法です。この均一価格の代表例が「100円ショップ」です。

この手法のメリットは、「わかりやすさ」です。何個買っても計算が簡単で、予算も立てやすいため、お客様にとって買いやすい仕組みになっています。

特別な企画やイベントなら使えるかもしれませんね。

値引き交渉されたらどうする?

イベントに出店していると値引き交渉されることがたまにあります。ネット販売で値引き交渉された経験はありませんので、対面販売だから起こる特徴ではないかと思います。

結論から言うと、値引き対応する場合としない場合があります。

私の場合は、イベント出店する際1つの商品に2つの価格を考えています。1つは実際の販売価格。2つ目はどうしても売り切って帰りたいときの為の、イベント終了間際の売り切り価格。

売り切り価格は赤字にならないよう計算して、最終手段として出すことがたまにあります。

いくらが赤字ラインなのか把握しておくことで、急な値引き交渉や最終手段に出る際バタバタせず対応できます。

最後に

いかかでしたか?安さだけを求める方をお客様にしたいのか、商品の価値を理解して購入してくれる方をお客様にしたいのか、人それぞれだと思います。作家さん自身がどんな人をお客様にするのかで価格の設定方法も変わってきます。

価格設定については、正直検索すればいくらでも有益な情報は出てきます。それでも価格設定に悩むのは、知っているけどめんどくさくてやっていないから…なんてことが原因の一つになっていませんか?

1つの商品を作るのに、どれくらいの資材が必要で、時間を計りながら製作して、大入り資材は1つ分の単価を計算したり、作業としては地味で本当にめんどくさいと思います。

しかし趣味の延長線で行うハンドメイドではなく、副業として、お仕事としてやっていくのであれば、それらを計算して、大まかでも把握しておくことは必須です。

私たちハンドメイド作家は、製造業だけでなく、販売業・企画・営業・経理・広報・経営、すべてをこなさないといけないのです。一般企業ではすべて分業されておりそれぞれの担当や専門がいるハズです。でも個人のハンドメイド作家さんは全て自分でやっているんです。

こんなすごい仕事他にありますか!?なので大変なのは当然なのです。

それでも誰かの喜ぶ顔が見たくて、作ることが大好きで、それを仕事として選んだのであればやるべきことをやって、長く楽しく続けていきましょう!一度計算してしまえばあとは楽です。確実に計算してみて下さいね!そしてたくさんの方の喜ぶ顔を見られるよう応援しています。この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。

最後までお読みくださりありがとうございました!